青インクの手紙

好きになって5年、告白もせずに失恋してしまった。

主にわたしが面倒臭いやつだったせいなんだと思うけど、せっかくわたしの好きな人のことを書くのだし、今日はできるだけ卑屈にならずにいようと思う。

 

5年前、わたしはぼんやり「自分がいる意味ってなんだろ」と思うような環境にいて、多人数でいてもなんとなくいつもひとりぼっちな気分でいた。

そんなときに出会ったのがその人だった。

 

卑屈にならずにと思ったけど前提を話さないとやっぱりむずかしい。

わたしは本当にコミュ障で自己肯定感激低大臣で人の近くに寄れないし、友人と話すときですら緊張してしまうことがある。そんな自分が何も気にせず隣に座って話せた人だった。

 

いっしょにいても疲れなくて、会うと思わず表情が緩んでしまって、帰るときは寂しかったけど「また明日から頑張ろ!」って思えた。

「誘って断られたらどうしよう」とほとんど誰にも声をかけられなかった自分が、その人に会いたくて勇気を出して「ごはん行こ!」って声をかけられるようになった。

その頃わたしはアイドル現場に行くのにハマっていて、「推しの隣に立つには少しでもマシでいなきゃ」と言っていたけど、本当は好きな人の隣を歩いても周りに変だと思われないようにでもあった。服を選ぶのやメイクが楽しくなった。

一緒に歩くのがただ楽しくて、隣に座ってるのがただうれしくて、向かいに座ってるその人を見るたびに優しい気持ちになって、自分が自分でいられて、恋愛不適合者のわたしの人生にもこんな素晴らしいことがあるんだなあって思った。

 

そしてそれなりに時間が経ち、結局冒頭に書いたとおり失恋してしまった訳だけれど、いい大人なのに超恋愛弱者で不器用で素直じゃないわたしが大失敗したからだった。

その人からはたくさんのプレゼントをもらってばかりで、逆にわたしはたくさんたくさん迷惑をかけたまま、全然何も返せずに終わってしまった。それだけはとても心が痛い。

だから、届くわけないけど、あなたと出会ってからわたしは前より少しはマシになれたしいろいろ学べたよって伝えたかった。

 

いつか直接ありがとうって伝えて、ずっと好きでしたって言って、びしっとふられて、くだらない思い出話で笑い合うのが夢だったのに、それすら叶わなかった。

絶対に幸せになってほしい。ひとりにならないで、たくさんのいい人に囲まれていてほしい。いまさらいらないかもしれないけどハグをあげたい。

ありがとう、ずっとずっと大好きだったよ。